ジェフ・ベゾス Amazon創業者

実業家

世界最大のECサイトamazon(アマゾン)の創業者であるジェフ・ベゾス。彼の人生を振り返る。

幼少時代

0歳 ニューメキシコ州アルバカーキにて出生、両親はほどなくして離婚するが、すぐに再婚

  • ジェフの両親は、ジェフが生まれて間もなく離婚する。しかし、10代だった母親はすぐに再婚し、ジェフを連れてテキサス州ヒューストンに引っ越した。
  • ジェフの父親となった再婚相手は、エクソンで働くエンジニアだった。

学生時代

 国際バカロレア認定のリバーオークス小学校で学ぶ

  • リバーオークス小学校は、テキサス州ヒューストンにある独立学区に位置し、先進的な教育プログラムである「バンガードプログラム」を実施する小学校だった。
  • ジェフは、非常に明るく活発な性格な上、読書家だった。先進的な教育プログラムはジェフに合い、論理的で自由な思考を身に付けた。

16歳頃 マイアミパルメット高校入学、優秀につき、各種奨学金を受賞

  • ジェフは、高校時代も秀才だった。
  • 全米で、成績優秀な学生のみが受けられる米国の学術奨学金であるナショナル・メリット奨学金や、ヘラルド新聞社のシルバーナイト賞を受賞している。

 マクドナルドで初のアルバイト

  • 高校時代に、マクドナルドでのアルバイトがジョフの初めての小売業デビューだった。
  • 夢中になって働いた結果、後にアマゾンのビジネスにも通ずる収穫を得ることになる。それは、自動化とマニュアルの重要性を知ったことだった。
  • マクドナルドは、全世界で、同一のクオリティのサービスを実現しているが、それは工程の自動化と完璧なマニュアルによって実現されている。ジェフはこの事を身をもって体感したのだった。

真剣に捉えれば、どんな仕事でも何かを学ぶことができます。マクドナルドで働く若者は、多くのことを学んでいるのです。学校で学ぶものとは異なります。その価値を過小評価しないでほしい。
(BUSINESS INSIDER AUS(2018年4月18日))

 宇宙への夢を抱き始める

  • ジェフは、世界の富豪であるイーロン・マスクと同じく、高校生の時から宇宙へ移住する夢を抱いていた。
  • ジェフが卒業生代表に選ばれた卒業式で彼は以下のように語っている。

宇宙空間に200~300万人が過ごせるホテル、遊園地、ヨット、居住地などを作りたい。全体のアイデアは地球の保護で、最終目標は人々を地球から解放し、地球を巨大な国立公園のようにすること。
(CNBC(2018年9月3日))

18歳頃 プリンストン大学で、コンピューターを学ぶ

  • 大学では、電気工学とコンピューターサイエンスを専攻し、主席で卒業した。
  • ジェフは、2010年に招かれたプリンストン大学の卒業式に招かれたスピーチで以下のように語っている。

明日、非常に現実的な意味で、あなたの人生、つまり自分で一から作成する人生が始まります。
才能をどのように使いますか?どのような選択をしますか?
惰性に流れていきますか、あなたの情熱に従いますか?
世間の常識に従いますか、独創的でいたいですか?
安らぎの人生を選びますか、奉仕と冒険の人生を選びますか?
批判の下に萎縮しますか、信念に従いますか?
あなたが間違っているときにハッタリをかましますか、謝罪しますか?
拒絶から心を守りますか、恋に落ちたときに行動しますか?
安全の下で遊びますか、少し大胆になりますか?
苦しい状況で、あきらめますか、妥協せず前に進みますか?
皮肉屋になりますか、挑戦者になりますか?
他人を犠牲にして賢くなりますか、親切になりますか?
大胆に予測をしましょうか。あなたが80歳の時、自分の人生について自身で振り返って語り継ぐとすると、最も簡潔で意味のあることは、あなたが行ってきた一連の決断になるでしょう。
(ピリンストン大学(2010)卒業式でのスピーチ)

会社員時代

22歳頃 大学卒業後、ファイテルに入社

  • ジェフは、インテルやアクセンチュアから内定を得たが、国際貿易に活用できるコンピューターネットワークを構築しようとするスタートアップに就職した。日本を含む顧客管理のマネージャーまでに昇進する。
  • ジェフは、当時から熱心に働き、興味関心のある仕事が任されると他人のことは気にせず没頭して解決策を導き出していたという。

24歳頃 バンカーズ・トラストに転職

  • ジョフは、信用情報会社バンカーズ・トラストに転職する。
  • しかし、企業は変化を好まず、自分の意思だけで組織の方向性は変えられない現状を察し、1年ほどで退職する。

25歳頃 スタートアップを起業

  • メリルリンチ証券の出資を受けて、友人と共にニュースレターのFAX配信をする事業を運営するスタートアップを立ち上げる。
  • ジェフは、起業に伴い成功している会社の創業者について徹底的に調べ、彼らに共通していることを熱心に洗い出していたという。
  • 事業は上手くいっていたが、メリルリンチの資本引き揚げにより会社を畳むことになる。

26歳頃 D・B・ショーに就職

  • ジェフは、ニューヨークにあるD・B・ショーというヘッジファンドに就職する。
  • D・B・ショーは、統計・数学・物理などの専門家集団を集め、独自のアルゴリズムを用いて株式取引を行う当時では無名のファンドだった。
  • D・B・ショーの雰囲気はジェフに合った。理由は、従業員が皆、学者レベルの専門家の集団であり変人が多かったため、ウォール街の慣習にはまらず、デニムにジーンズというカジュアルな雰囲気に溢れていたからだった。
  • ジェフは、深夜まで働き、同僚と朝方まで遊ぶなどハードな働き方をしていたが、この時に、現在にも続くある習慣を身に付ける。
  • それは、常にメモを持ち歩き、思い浮かんだアイデアをその場で書き留めるという習慣だった。アマゾンのアイデアもこの習慣に起因していると言われている。

29歳頃 秘書のマッケンジーと結婚、幸せ真っ只中だが、会社の退職を決意

  • ジェフは、当時D・B・ショーで副社長を任されており、秘書をしていたマッケンジーと結婚する。
  • ジェフは、ある日、インターネットの利用が1年で2560倍伸びているという数字をはじき出す(これは後に間違った算出だと判明する)。
  • そして、インターネットの無限の可能性を感じ魅了されていたジェフはインターネットを活用した起業を志し退職を決意する。
  • 両親や同僚は、好待遇で余裕のある生活を送っていたジェフの退職に反対した。
  • しかし、ジェフは、世界はものすごいスピードで変化しており、このまま会社に残るのか新しい行動を起こすか、どちらが後悔するかを考えた末に退職した。

私が80歳になった時、1994年の半ばという最悪のタイミングでウォール街のボーナスをもらう権利を放棄したのはなぜだろうと感じることは決してないと思ったのです。
そういう類のことを、80歳になった時に気にする人はいませんよ。
同時に私は、革命を起こすと確信しているインターネットの世界に参加しないほうが後悔するだろうと思ったのです。
そう考えたら、決断はとても簡単でした。
(カリフォルニア・コモンウェルスクラブでのスピーチより)

経営者時代

30歳頃 Amazonを起業

  • ベゾスと妻マッケンジーは、東海岸ニューヨークから西海岸に向けて移動を始めた。
  • 引っ越し先を確保していたわけではなく、とりあえず荷物を車に詰めて西に向かい始めただけだった。結局、シアトルに落ち着くが、理由は法人を設立したのち、最も税金が低く抑えられると見込まれるのがシアトルだったからだった。
  • 資本金はジェフ自身が出した1万ドルだった。その後、約8万ドルを借金しているが、資金調達のスピードや、実際の事業の準備を含めても、スタートアップとは思えないスローペースだった。
  • ジェフが目指した事業は、インターネットを活用した「エブリシングストア」で、まさにインターネットでなんでも販売する現在のAmazonの姿である。
  • しかし、当時は資本も少なく、物流や倉庫など、様々な要素が未発達だったため、差別化要素の少ない本のインターネット販売から始めることにした。
  • 同様のビジネスを専攻して行っている競合はあったが、ジェフは実際に先行するサービスを使用してみて、サービス品質に問題があると考えていた。顧客の手元に届くまでに日数がかかるし、到着した時の本の姿は、輸送でボロボロになったりしていたからだ。

31歳頃 amazon.comを一般に公開

  • アマゾンは、ジェフの父から10万ドルの追加出資を受け入れたが、大量の本を揃えたり、倉庫を保有するほどの資金力はなかった。
  • しかし、ベゾスは、過剰な在庫を抱えずに多様な本を揃える方法に気づく。
  • 一般に、出版取次業者から本を仕入れる際、一定の量をまとめて発注する必要があるが、取次側に在庫がない場合は揃うものだけ納品される状況だったのだ。
  • つまり、「A本を1冊」という注文が入った場合、アマゾンは出版取次に対し、A本1冊と在庫切れ状況のB本9冊という注文を出していた。
  • これを上手く活用し、必要な分だけ仕入れることができたため無駄がなかったのだ。それでも、事前に仕入れた本はガレージの地下室いっぱいに抱えており、梱包も日夜自分達の手で行っていた。
  • 当初のAmazonのwebサイトは、もちろん現在のような視覚的に優れたUIではなかった。
  • しかし、ジェフは、自社のサイト改善に顧客の声を重視するのと同時に、販売する書籍に関してもレビューが大切であると気づき、レビュー機能を付加し顧客を増やしていった。

 従業員の採用を拡大

  • ジェフは、様々な分野で飛びぬけて優秀な従業員を採用した。元数学教師や、大学の研究者を志望する者などがいた。ジェフにとって優秀とは、とにかく頭が切れる人物のことで、それまでの肩書きや、見た目は重要ではなかった。
  • これは、ジェフがD・B・ショー時代に頭は切れるが世間的に変人と言われる人たちの中で働いた上で確信していたことだった。そのため、面接においては、フェルミ推定を課した。
  • ジェフは、採用において、頭脳明晰であることに加えて、もう一つの要素を求めた。それは、ハードな労働環境に耐えられることである。

長い時間働くこともできるし、猛烈に働くこともできる。賢明に働くこともできる。ただしAmazon.comではこの三つから二つを選ぶことはできない。
(ブラット・ストーン(2014)「ジェフベゾス果てなき野望」日経BP)

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33歳頃 アマゾンの株式を公開して5400万ドルを調達

  • ジェフは、事業拡大に伴い多くの投資家から資金調達を続けていたが、設立から3年でついにIPOに成功する。
  • そして、調達した資金によって小規模な競合他社を買収、購入履歴によってオススメの商品を提案するサービス等を付加して業績を拡大した。

36歳頃 宇宙ロケットスタート・アップのBlue Originを設立

  • ジェフは、幼少期から抱いていた宇宙への夢を叶えるため、宇宙ロケットベンチャーを設立する。
  • 目的は、宇宙への輸送費を減少させて、誰でも宇宙へ行くことを実現させること。
  • Blue Originは、その後、実際に数度の打ち上げに成功している。

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38歳頃 アマゾンの財政悪化によって、初の人員削減

  • アマゾンは、本以外の様々な商品を扱うようになっていた上、在庫を全て自分で抱える運営方式のため、急激に支払い債務が増加し、倒産寸前になる。ジェフは、初めて従業員を解雇することになり、1500人を削減した。

 Amazon Web Service(AWS)を開始

  • 一方で、この頃、サービスの拡大を下支えすべきサーバー等のインフラが不足していることに気づく。
  • 社内でクリエイティブな発想が出ても、それをすぐに実行に移せる環境が整っているとは言えなかった状況だったのだ。
  • ジェフは、世界的なネットの拡大により、今アマゾンが抱えている同様の課題に直面する企業が増えることを予測し、コンピューターの処理をアウトソーシングできるサービスを準備し始める。
  • それが、後に現在のアマゾンの収益を下支えすることになるAmazon Web Service(AWS)だった。

Jeff Bezos at startup school

 幹部が続々と退職する

  • ジェフは、2013年まで1995年製のホンダアコードに乗り続けていたほどの倹約家であり、それはビジネスにおいても同様の姿勢であった。
  • 例えば、アマゾンは優秀な人材を集めるが給与はそこまで高くないし、社内のプレゼンは無駄を徹底的に省くためにパワーポイントではなく、5枚にまとめた意見書で行われるほどだ。
  • 幹部や従業員は、アマゾンの事業の拡大により、無駄を徹底的に省いたこれまでと変わらぬクオリティでより早いスピードを求められたため疲弊し、続々と辞めていってしまう。
  • しかし、それでも、アマゾンの魅力ある事業や、常に変化し続ける事業に魅力を感じた優秀な人材が入社し続け、事業は現在までの拡大を続けた。

49歳頃 ワシントンポストを現金2億5千万ドルで購入

  • ジェフは、個人資金で作った投資会社ナッシュ・ホールディングスを介してワシントン・ポストを買収した。
  • ジェフが新聞社を買収した目的は、諸説ある。
  • 各社のインタビューに答えるジェフの意見を総括すると、インターネットによって既存のメディア事業は大きな打撃を受けてしまったが、ワシントンポストは非常に価値のあるメディアで、インターネットとより結びつきを強化することにより更に多くの読者を獲得できるとの考えに至ったからだ。

55歳頃 離婚を発表

  • 長期に渡って連れ添った妻マッケンジーと離婚する予定であることを発表した。